今回は地域ごとの雑煮の特徴を紹介しよう。一般的に餅入りの汁物を雑煮と呼び、正月のようなハレの日の行事食として食べている。地域によっては丸餅を入れるところもあれば、角餅を使う県があり、その種類は100を超えるほどだ。
1. 雑煮と地域の特色
お正月に食べる雑煮だが、地域ごとに白味噌を使ったり、すまし汁であじわったり、具材をすべて丸く切ったりするなど、種類は100を超えるほど多様だ。最初に各地域の雑煮を厳選して解説する。
ご当地の料理
【北海道】
北海道とひと言でいっても、雑煮の種類は多種多様だ。札幌はおもに鶏がら出汁で作り、焼いた角餅が入っているのが特徴のひとつ。具材は大根・にんじん・ごぼう・鶏もも肉など。砂糖入りで甘めに仕上がっているのが特徴だ。
【岩手県】
いろいろな種類の雑煮があるが、ひとつはくるみ雑煮で、角餅を焼いて入れる。具材は鶏もも肉・大根・にんじん・ごぼう・高野豆腐・いくらと具だくさんである。とくに宮古地域は餅を取り出し、甘めのくるみだれに付けて食べる習慣がある。
【宮城県】
大きな焼きハゼが乗っていて、インパクト大の雑煮だ。ただしハゼは高価で入手しにくいという。具材は、にんじん・大根・ごぼうを凍らせて作る。
【東京都】
昆布やかつお出汁がベースで、角餅を焼いて入れる雑煮だ。具材は鶏もも肉・にんじん・小松菜・しいたけ・三つ葉などを使用。関東風雑煮と呼ばれている。
【富山県】
海産物がよくとれるため、エビ入りの雑煮が特徴のひとつで、赤巻と呼ぶ練りものを添えてある。ブリの幼魚を福来魚(ふくらぎ)と呼んでおり、縁起をかついで雑煮に使う地域もある。
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【京都府】
昆布とかつお出汁を使用し、白味噌で味を調える雑煮だ。丸餅は焼かずに入れ、具材は金時にんじん・大根・さといもなどを使用。切り方はすべて丸く切るのが特徴で、家庭円満や物事を丸く収めるという願いをかけている。
【福岡県】
あご出汁が特徴の雑煮で具材はブリ・かつお菜・焼き豆腐・干ししいたけ・かまぼこなど。とくに緑色があざやかなかつお菜が特徴で、福岡県内では冬場のみ店頭に並べてある。志賀島は、ブリではなくサワラを使っている。
2. 雑煮と地域による餅の違い
ここでは地域によって異なる雑煮の餅の特徴について紹介しよう。
西の丸もちと東の角もち
日本は東側と西側で餅の形が異なり、境目は岐阜県の関ケ原周辺だ。関ケ原より東の地域は角餅で、西の地域は丸餅がよく食べられている。境界線上に位置する、岐阜県・石川県・福井県・三重県・和歌山県は、角餅も丸餅も使われているところがある。
なお、餅の購入量が多い地域は角もちを焼き、少ない地域では丸もちを煮ることが多いといわれている。これは、餅を調理する手間の差が購入量に影響していると考えられている。焼き餅は比較的簡単に調理できることから、角もちを焼いて食べる地域ではおやつ感覚で餅を楽しんでいるようだ。
3. 雑煮と地域ごとの具材の傾向
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最後に雑煮に入れる具材を地域ごとにピックアップして紹介しよう。
独特の具材
【地域ごとに雑煮に入れる具材】
- 秋田県:海藻
- 青森県:くじら
- 山形県:わらび
- 福島県:きくらげ
- 千葉県(房総・九十九里):はば海苔
- 長野県(松本市):塩ブリ
- 富山県:真いわしのつみれ
- 愛知県:もち菜
- 広島県:牡蠣
- 熊本県(北部):納豆
雑煮に入れる具材は地域によって異なることがわかるだろう。
結論
地域によって雑煮の味付けや餅の種類、入れる具材は多種多様だ。自分が住んでいる地域以外の雑煮を食べる機会は少ないかもしれないが、なんとなく食べてみたくなったという人もいるだろう。農林水産省の公式サイトに各県の郷土料理として雑煮のレシピが記載されているので、気になる人は調べてみてはいかがだろうか。
監修管理栄養士:小林里穂
経歴:管理栄養士養成施設を卒業後、栄養士資格・管理栄養士資格・栄養教諭資格を取得。学校給食センターでの勤務時に小・中学生に食育を実施した経験を活かし、栄養分野の記事執筆・監修を中心に活動中。