今回紹介するのは、じゃがいもの食べ過ぎによる影響だ。肉じゃがやグラタン、コロッケ、粉ふきいも、フライドポテトなど、さまざまな料理に使えるじゃがいもだが、食べ過ぎると、身体にどういった影響を及ぼすのだろうか。
目次
- 1. じゃがいもの食べ過ぎによる影響
- 2. じゃがいもの食べ過ぎにならない量
- 3. じゃがいもの意外な効果
1. じゃがいもの食べ過ぎによる影響
一年を通して見かけるじゃがいもだが、食べ過ぎると身体にどういった影響を及ぼすのだろうか。
調理法や食べ方によっては太る
調理法や調味料によってはじゃがいもの食べ過ぎで太る可能性がある。具体的に調理法や調味料によるカロリーの違いを比較してみよう。今回は牛乳を使用する料理をピックアップしてみた。
じゃがいも料理のカロリー(※1、2、3、4、5)
- じゃがいものスープ(冷製):241kcal
- 牛乳肉じゃが:301kcal
- ミルクポテトコロッケ:322kcal
- ミルクポテトの春巻き:494kcal
- じゃがいものミートグラタン:652kcal
スープとグラタンではカロリーが、411kcalも違うことがわかるだろう。カロリーの高いじゃがいも料理の食べ過ぎには注意が必要だ。
アクリルアミドによる健康影響
じゃがいもは冷蔵すると糖の濃度が高まり炒め調理や揚げ調理によって有害物質のアクリルアミドが増える可能性がある(※6)。アクリルアミドは、遺伝毒性・神経毒性・発達毒性を持つ物質だ。食品中のアミノ酸のアスパラギンと還元糖が120度以上の高温で反応すると、生成しやすいのが特徴のひとつ。おもな反応経路はメイラード反応と考えられており、じゃがいものような炭水化物を多く含む食材を高温調理するとアクリルアミドが多く生成しやすい。たとえばフライドポテトは比較的濃度が高い(※7)。
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グリコアルカロイドによる食中毒
じゃがいもに含まれる天然毒素のソラニンとチャコニンは健康に影響を与えるというが、それはなぜなのだろうか。ソラニンやチャコニンのようなグリコアルカロイドを、体重1kg中1mg以上摂取すると食中毒の症状が出る可能性がある。また、体重1kg中3~6mg以上摂取すると、死ぬ可能性があるという(※8)。ちなみに、じゃがいもは冷蔵庫で保存する必要はなく、冷暗所に置いて保存すること(※6)。
2. じゃがいもの食べ過ぎにならない量
ここではじゃがいもの食べ過ぎにならない1日の適切な摂取量を紹介しよう。
1日の摂取量
秋や冬はホクホクとしたいも類が美味しい季節だが、野菜だからと思って食べ過ぎるのはNGだ。じゃがいものように炭水化物を多く含んでいる食材は、ごはんの仲間に分類されるため、食べ過ぎると血糖値が上がりやすい(※9)。具体的なじゃがいもの1日の摂取量は体重50kgの男性で、1個が目安だ(※10)。
3. じゃがいもの意外な効果
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ここでは、じゃがいもに含まれる栄養を摂ると、どういった効果があるかを紹介しよう。
高品質のタンパク源
じゃがいもに含まれるたんぱく質を摂取すると、身体にどのような変化があるのかを、ある大学の研究チームが行った。その研究内容を紹介しよう。研究はじゃがいもの1日の推奨摂取量を摂取している20代前半(平均年齢21歳)の女性24人を対象に行った。2週間にわたって対象を2つのグループに分け、1つのグループに単離じゃがいもたんぱく質を追加。1日の摂取量が推奨量の2倍になるようにした。別のグループはプラセボを与えたという(※11)。ちなみにプラセボとは治験で使われる、まったく効果のない薬のことだ(※12)。研究の結果、追加のじゃがいもたんぱく質を摂取した人は、筋肉が新しいたんぱく質を生成するスピードが増加した。プラセボを与えたグループは、そうでなかったという(※11)。
たんぱく質の、そのほかの健康効果をピックアップして紹介しよう(※13)。
- 血液を作る
- 酵素を作る
- ホルモンを作る
- 内臓を作る
- 抗体・インターフェロンを作る
結論
じゃがいもを食べ過ぎると紹介したようにアクリルアミドによる健康影響や、グリコアルカロイドによって食中毒を引き起こす可能性がある。じゃがいもは食物繊維が多く含まれているので身体によい食べ物と思いがちだが、食べ過ぎはNGだ。
参考文献- ※1〜※5出典:一般財団法人Jミルク
- ※6※8出典:農林水産省
- ※7出典:科学技術振興機構「ジャガイモによる健康リスク」
- ※9出典:医療法人 桜佳会 小川内科・糖尿病内科クリニック「今月のテーマ:イモ類の適正量について」
- ※10出典:国家公務員共済組合連合会 吉島病院「COPD 一日の食事摂取量の目安」
- ※11出典:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「[運動] ポテトから女性の筋肉に良い高品質たんぱく質」
- ※12出典:独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター「治験で使う「プラセボ」とは?」
- ※13出典:一般社団法人 オーソモレキュラー栄養医学研究所「タンパク質」