監修者:管理栄養士 黒沼祐美(くろぬまゆみ)
冬が旬の果物には、さまざまな種類がある。本記事では、冬に美味しい果物にはどのようなものがあるか紹介していく。フルーツ好きの人は果物を食べる機会も多いが、果物にはただ美味しいだけはないメリットもあるという。冬の果物について、改めて学ぼう。
目次
- 1. 冬の果物は柑橘類が多い
- 2. その他の冬の果物
- 3. 冬にも果物を食べるメリット
1. 冬の果物は柑橘類が多い
冬に旬を迎える果物にはさまざまな種類があるが、とくに多いのが柑橘類だ。冬といえばみかんが代表的だが、ほかにも多くの柑橘類が出回る。冬が旬の代表的な柑橘類を見ていこう。
旬の柑橘類
温州みかん
- 旬:10~12月
- 特徴:糖度が高くコクがある。10月以前に収穫される極早生は、さっぱりとした味わい
柚子
- 旬:10~12月
- 特徴:風味がよく、皮も香料や薬味として用いられる
だいだい
- 旬:10~12月
- 特徴:果汁が多くジャムなどにも向く。鏡餅の飾りとしても用いられる
レモン
- 旬:11~12月
- 特徴:通年出回り、さわやかな風味が特徴。果物として食べられるより、食材として用いられる
タンジェリン
- 旬:11~4月
- 特徴:オレンジとはちみつを合わせたような濃厚な風味が味わえる
文旦(ザボン)
- 旬:12~2月
- 特徴:東南アジア原産の柑橘で、グレープフルーツに似ている。甘みはやや強く多汁
金柑
- 旬:12~4月
- 特徴:楕円形の小さな柑橘で、皮ごと食べられる。甘みとほのかな酸味がある
ぽんかん
- 旬:1~3月
- 特徴:皮がむきやすく、袋ごと食べられる。腰高な形の早生品種は香りがよく、扁平な品種は甘みが強い
デコポン
- 旬:1~3月
- 特徴:ヘタの部分が出っ張っている独特な形状と、多汁ですっきりした甘さをもつ
2. その他の冬の果物
みかんなどの柑橘類のほかにも、冬が旬の果物はある。とくに、下記のような果物がよく食べられている。
りんご
非常に種類が多く、国内では2000種類ほど、世界では約15000種類もの品種が栽培されている。最も生産量の多いふじをはじめ、つがるや紅玉、秋映、ジョナゴールド、王林、シナノスイートなど、さまざまな品種が10~1月にかけて多く出回る。
果皮の色や味わいは品種によって異なり、食感も柔らかめのものと硬めのものがある。好みによって選び分けるとよいだろう。また、一般的には色付きをよくするために果実に袋掛けして栽培されるが、サンふじやサン陸奥など日光にあてて栽培する品種もある。
いちご
冬から春にかけて旬を迎えるいちごは、柑橘類やりんごとは異なり、木ではなく草に実がつく。そのため、園芸学や農林水産省の統計などでは野菜に分類されるが、実際は果物として認識され利用されている。
また、本来は粒々の種のような部分が果実だが、茎の先端の花床が膨らんだ偽果が果実として食べられている。先端部分に糖が蓄積するため、ヘタよりも先端に近い部分ほど甘みが強い。いちごは傷みやすく常温保存には向かないため、購入したら速やかに冷蔵庫に入れて早めに食べきろう。
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柿
柿は秋から冬にかけて多く出回る果物だ。果樹は東アジア原産で、甘柿と渋柿がある。さらに、甘柿は自然に渋が抜ける完全甘柿と、種子が多くできることで果肉が黒くなり渋が抜ける不完全甘柿の2タイプに分けられる。代表的な品種は下記の通りだ。
- 完全甘柿:富有、次郎、伊豆、太秋、早秋など
- 不完全甘柿:西村早生、禅寺丸など
- 渋柿:平核無、会津身不知、愛宕など
甘柿はそのまま美味しく食べられるが、渋柿は渋抜きをする必要がある。完全に軟熟させる、干し柿にする、炭酸ガスやエチルアルコールを用いるなどの方法が一般的だ。市販の柿は、甘柿か渋抜き済みの商品がほとんどのため、いずれも美味しく食べられる。
3. 冬にも果物を食べるメリット
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果物はデザートやおやつとして食べられることが多いが、栄養面でも優れていることから、健康維持のために摂取が推奨されている(※1)。冬に限らず、年間を通して適量の果物を食べることには、どのようなメリットがあるか見ていこう。
果物を食卓に
「果物のある食生活推進協議会」では、一日あたりの果物摂取目標量を可食部200g以上としている。みかんの場合は約2個分、りんごの場合は約1個分に該当する量である。果物にはさまざまな栄養素が含まれており、適度に摂取することで健康効果も期待できる。代表的な冬の果物である温州みかん、りんご、いちご、柿に含まれる主な栄養成分と効果は下記の通りだ。
- ビタミンC:皮膚や粘膜の健康維持に役立つ。抗酸化作用によりストレスや疾病を防ぐ
- カリウム:ナトリウムの排泄を促すことから、高血圧を予防する
- 食物繊維:便秘の改善に役立ち、コレステロール、糖質の吸収を緩やかにする効果もある
- ポリフェノール:抗酸化作用や多様な働きにより、生活習慣病の予防効果が期待される
- カロテノイド(みかん、柿のみ):抗酸化作用により疾病予防効果が期待される
栄養素の種類は果物によっても異なるが、ほかにも、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB群などが含まれる。(※1、2、3)
バランスのよい食事が大切
また、果物に含まれる果糖と肥満の因果関係はない。肥満予防には、一日あたりの摂取エネルギーが消費エネルギーを超えないようにすることが大切である。栄養成分が豊富な果物も食事や間食に取り入れながら、冬だけでなく通年でバランスのよい食生活を心がけるとよいだろう。(※1)
結論
冬が旬の果物は、温州みかんをはじめとする柑橘類のほか、りんごやいちご、柿などが代表的だ。旬のフルーツは味がよく心を豊かにしてくれるだけでなく、栄養も摂れるため、健康維持にも役立つ。冬にもほかの季節にも、食生活に旬の果物を取り入れることをおすすめする。
(参考文献)
- ※1~※3:農林水産省https://www.maff.go.jp/