日本では稲作が始まる前から食されてきたといわれる里芋。(※1)ほっこりとしたその食感は、おふくろの味を思わせるところが魅力的である。独特の食感とねばりをもつ里芋は、どのように処理すれば美味しく食べることができるのだろうか。本記事では里芋の処理の仕方について紹介する。
目次
- 1. 里芋の基本の下処理方法
- 2. レンジで簡単な里芋の下処理方法
- 3. 冷凍保存用の里芋の下処理
- 4. 里芋に生えたカビの処理
- 5. 芽が出た里芋の処理
1. 里芋の基本の下処理方法
里芋は土付きで売られていると、いかにも新鮮という感じがする。しかし、土付きの里芋の処理には頭を悩ませてしまうかもしれない。調理の前に行うべき里芋の下処理について、詳しく見てみよう。
土付き里芋の洗い方
里芋に土が付いている場合は、こちらの工程で洗ってみよう。
- たわしなどを使用して、里芋を水で洗う
- 土が落ちたら、キッチンペーパーでよく水をふき取る
- しばらく乾かしておく
水で濡れた里芋の皮は滑りやすく、皮むきの際に手を切る危険もあるため、乾燥させるのがベターである。
里芋の皮のむき方
里芋を料理する場合、皮むきがいちばん難儀な工程である。
- 里芋の皮は乾燥した状態で皮むきする
- まず上部と下部の皮を切り落とす
- 胴体部分の皮を縦にむく
手にかゆみを覚えた場合には、塩や酢に触れることで解消することもある。
里芋のぬめりの取り方
里芋独特のぬめりを好む人は多いかもしれないが、料理によってはある程度ぬめりは除去したほうがよい場合もある。おせち料理などに品よく里芋を加えたい場合は、ぬめりは取るのがよいだろう。ぬめりをとるには、この方法がある。
- 皮をむいた里芋をボウルに入れる
- 里芋に塩をまぶす
- しばらく指でもむように転がす
- 里芋を水洗いする
この手間で、里芋のぬめりはある程度除去できる。
2. レンジで簡単な里芋の下処理方法
里芋の下処理は、電子レンジを使ってもできる。ぬめりで包丁を使うのが嫌だなという場合には、ぜひこの方法を試してほしい。
- 里芋に付いている土を落とす
- 里芋の皮がかわくまで待つ
- 里芋の皮を1周するように包丁で切れ目を入れる
- 里芋を耐熱容器に入れて、適量の水をかける
- 600Wの電子レンジで5分弱加熱する
- やけどに注意しながら皮をむく
電子レンジで加熱した里芋の皮は、気持ちよいくらいにつるりとむけるのである。
3. 冷凍保存用の里芋の下処理
里芋をたくさん入手したら、使いやすいように下処理をして冷凍保存をすれば長持ちする。里芋を冷凍するためにはどんな方法があるのか。いくつかのアイデアを紹介する。
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冷凍保存用の里芋の下処理
里芋は、皮付きのままでも皮をむいたものでも冷凍できる。皮付きで冷凍する場合には、水洗いをして汚れを落とし、よく水気を切ってから1個ずつラップにくるむ。これを保存用の袋に入れて、冷凍庫に入れるのである。皮をむいた里芋の場合は、調理後に使いやすいようカットして1回分ずつラップにくるみ、さらに保存用の袋に入れて冷凍庫に入れる。
生のまま冷凍する場合
皮付きの里芋を生で冷凍する方法は、上述したとおりである。解凍するときは、電子レンジを使うと皮もきれいにむける。また、解凍せず、そのまま調理に使っても問題ない。ぬめりが気になる場合は、凍った状態の里芋を茹でこぼしして、調理に使うようにしよう。
加熱して冷凍する場合
加熱した里芋を冷凍する場合には、使いやすい大きさにカットしてから火を通し、冷ましてから冷凍する。1回で使い切れる量に分けて冷凍すると便利である。解凍しなくても、味噌汁の具や煮物として料理可能である。またマッシュ状にしておくと、里芋のコロッケやサラダに使うことができる。
4. 里芋に生えたカビの処理
芋は湿気の多い場所に保存をするとカビが生えることがある。皮の表面に白っぽいものがふわふわとしている場合には、カビが生えている可能性が高い。カビの状態が初期で、表面だけに発生している場合には、そこだけを切り落とし食べることができなくもない。しかし、カビが内部にまで浸透している可能性もあるため、食べないほうが安全である。里芋を保存する場合は、1個ずつ紙に包むなどして、カビの原因となる湿気対策を行うのが最後まで美味しく食べるコツである。
5. 芽が出た里芋の処理
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里芋は長期間保存しておくと芽が出てしまうことがある。じゃがいもの芽が危険なことは農林水産省のサイトでも明記されているが、里芋の芽についてはとくに注意は促していない。(※2)サトイモ科の植物の茎にはシュウ酸が含まれているが(※2)、シュウ酸はタケノコやホウレンソウにも含まれる物質であり、非常に危険と呼べるほどのものでもない。(※3)
ただし、シュウ酸の多量摂取は結石の原因となることもあるため、注意は必要である。(※3)
結論
食らしい食感をもつ里芋は、煮物や味噌汁などによく使われる。独特の味わいが愛されている里芋であるが、皮むきをはじめとして処理が面倒という人も多いだろう。里芋の処理は慣れてしまえばそれほどの手間もなく、レンジなどを使って簡単に処理することも可能である。冷凍保存も応用して、新鮮な里芋を美味しく食べきってほしい。
(参考文献)
※1※3.小学館日本大百科全書
https://japanknowledge.com/contents/nipponica/※2.農林水産省「ソラニンやチャコニンとは」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/solanine/solanine/solanine.html
監修管理栄養士:渡邉里英
経歴:大学で栄養学を学び、大学院卒業後、医学関連出版社に就職。管理栄養士としての知識と医学雑誌の編集経験をもとに、オリひと食料理記事の監修に至る。