今回紹介するのはさつまいもを食べると太るのかだ。秋を代表する味覚のひとつであるさつまいもだが、最近はスーパーで焼きいもを販売するお店もあるほど人気の食べ物である。美味しくてついつい食べ過ぎるほど、大好物という人もいるだろう。しかし太るのが嫌で遠慮がちになる人もいるのでは?
目次
- 1. さつまいもで太る理由
- 2. さつまいもは太るのではなく痩せる
- 3. さつまいもの美味しい食べ方
1. さつまいもで太る理由
さつまいもは初夏から秋口にかけて収穫され、翌年の春まで貯蔵されて出まわる。貯蔵されてから約2ヶ月経過すると、水分が飛んで甘みが増す。種類はあざやかな紫色の果肉が特徴のアヤムラサキや、西日本で人気のなると金時、甘みが強くて関東で出まわっている紅あずまなど。焼きいもで食べるとホクホクとした食感が美味しいさつまいもだが、食べると太るのではと思っている人もいるようだ。
食べすぎによるもの
一般的なダイエットは身体活動で消費するエネルギーより、食事で摂るエネルギーを少なくして体重を減らす方法だ。さつまいもに限らず太る原因のひとつが食べすぎである。1日の基礎代謝量は、成人男性が約1,500kcalで、成人女性が約1,150kcalだ。食事はおおよそのカロリーを計算し、適度な運動も取り入れ、摂取カロリーが消費カロリーを上回らないようにすることが大切だ(※1)。さつまいもを朝食または昼食の主食の代わりに食べる場合や、間食に摂る場合は、1日半分~1本を目安にしよう。
さつまいもの食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、100gあたりのさつまいもには水溶性が0.5g、不溶性が1.8g含まれている。便秘予防に効果があるといわれる食物繊維だが、不溶性の場合、便秘の人が摂取すると、さらに便秘になりやすくなる可能性がある。ただし、さつまいもはヤラピンという成分が含まれ、お腹を緩める作用があるため、ヤラピンが集まる皮の部分を含めて食べると、便秘予防に効果的だ(※2)。
食べ方によるもの
さつまいもは調味料や調理法によってカロリーが高くなる。たとえば100gのさつまいもを蒸して食べると129kcalだが、天ぷらにすると205kcalと76kcalも違う(※3、4)。太るのを避けたい人は天ぷらのような揚げる調理法より、蒸して食べるべきだろう。
2. さつまいもは太るのではなく痩せる
さつまいもは甘藷(かんしょ)とも呼ばれており、食生活において嗜好品やおかずとしてエネルギー源・ビタミン・ミネラル摂取の役割を果たしている(※5)。ここではさつまいもに含まれる主な栄養素を紹介しよう。
主な栄養素
さつまいもは栄養価や機能成分からみると準完全栄養食品である。食物繊維を多く含んでおり、便秘解消のような腸内環境の改善に効果が期待できる。また、ビタミンA・C・Eをはじめ、カリウムやカルシウム、リンなど、ミネラルを多く含み、健康の保持と増進に寄与している(※5)。とくにビタミンCはみかんに匹敵するほど豊富に含まれ、加熱してもこわれにくい形で含まれている(※6)。
3. さつまいもの美味しい食べ方
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最後にさつまいもを美味しく食べる方法を紹介しよう。
皮まで食べる
先述したようにさつまいもの皮にはヤラピンが含まれている。皮をむいて食べる人もいるようだが、便秘予防に効果的なのでむかずに食べるのがおすすめだ(※2)。ちなみにさつまいも選びのポイントはずんぐりと太って、ずっしりと重いもの、デコボコが少ないものがよい。また、皮の色みが均一でハリとツヤがあり、ひげ根の穴が浅いものを選ぶこと。さらに糖度が高いさつまいもは切り口から蜜が出ている(※7)。
ゆっくり加熱する
さつまいもの調理方法といえば焼きいもが代表的だが、その美味しさにはきちんとした理由がある。さつまいもの甘みは、でんぷんに酵素のβアミラーゼが働き、麦芽糖に変化することで生まれる。このβアミラーゼがよく働く温度は、60~65℃といわれている。そのため、ゆっくりと加熱する石焼きいもや蒸しいもは甘みが強くなるのだ。人によっては電子レンジで加熱するようだが、レンジはβアミラーゼが十分に働く前に壊れるため、甘みが弱くなりやすい。時間がかかっても、蒸し器やオーブンでゆっくりと加熱するほうが、美味しいさつまいもを味わえるのだ(※8)。ちなみにさつまいもは酸化酵素を含んでおり、切り口が褐変するので切ったらすぐ水につけること(※7)。
結論
紹介したようにさつまいもを食べて太るのは食べすぎや食べ方が原因だ。太りたくないなら食物繊維を多く含む皮を食べるとよい。さつまいもは腸内環境の改善に効果が期待できるので、適量食べることが大切だ。美味しく調理するコツは、ゆっくり加熱調理することである。
(参考文献)
※1出典:厚生労働省「ダイエット(だいえっと)」
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https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html
※2出典:一般社団法人さつまいもアンバサダー協会「さつまいもの機能性と腸内細菌について」
https://sweetpotatoes.jp/intestinal_bacteria/
※3※出典:文部科学省
https://fooddb.mext.go.jp/※5出典:独立行政法人 農畜産業振興機構「かんしょの需要変化と品種の動向」
https://www.alic.go.jp/content/000130286.pdf
※6出典:農林水産省「サツマイモの栄養成分の特徴(とくちょう)をおしえてください。」
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0011/04.html
※7出典:公益財団法人 秋田県総合保健事業団「けんこうAkita」
https://kenko-akita.jp/files/libs/137/201606161241445955.pdf
※8出典:独立行政法人 地域医療機能推進機構 東京山手メディカルセンター「給食だより 第46号 2016年10月」
https://yamate.jcho.go.jp/wp-content/uploads/2016/10/kyusyokuH28.10-.pdf
監修管理栄養士:黒沼祐美
経歴:女子栄養大学栄養学部を卒業後、管理栄養士、健康運動指導士資格を取得。企業給食管理、食品メーカーでの商品開発、医療機関での栄養指導、健保組合での特定保健指導などを経験。その後、食文化や料理技術を学ぶためイタリアにて1年間料理留学を経験し、2012年より在住。これまでの経験を活かし、現在はオンラインでの特定保健指導や食・栄養関係の記事監修などを行う。