れんこんを使用するレシピでは、切ったれんこんを酢水にさらすよう記載されていることが多い。れんこんを酢水にさらすのはなぜなのだろうか。酢水にさらす理由や酢水の作り方など、れんこんの適切な下処理について知り、上手に料理に活用しよう。
目次
- 1. れんこんを酢水にさらす理由
- 2. れんこんに使う酢水の濃さ
- 3. れんこんを酢水にさらさない料理
1. れんこんを酢水にさらす理由
れんこんを切ったあと酢水にさらす理由は、主に下記の2つの効果を得られるからだ。
変色を防ぐ
れんこんを切ってそのまま置いておくと、切り口が黒っぽく変色する。これは、れんこんに含まれるタンニンによる褐変である(※1)。褐変は皮を剥いた部分や切り口が空気に触れると起こる。れんこんの見た目が悪くなってしまうため、酢水にさらして空気を遮断することで褐変を防ぐのだ。
【浸け過ぎに注意】
酢水にさらすことでれんこんの褐変は防げるが、水溶性のビタミンCが流出してしまう(※1)。流出を最小限におさえるためにも、長時間浸けっぱなしにするのは避けよう。
アク抜き
れんこんのタンニンは、アクの成分でもある。酢水にさらしてアク抜きすることで、苦みやえぐみを和らげることができるのだ。色をキレイに保つだけでなく、味の面でもアクによるクセをなくす効果がある。ただし、長時間酢水に浸けているとれんこんの風味まで抜けてしまうため、やはり浸け過ぎは禁物だ。(※2)
2. れんこんに使う酢水の濃さ
れんこんをさらす酢水は、どのくらいの濃度で作ればよいのだろうか。目安となる濃度や、さらす時間について見ていこう。
濃度の目安
酢水の濃度は、約3%を目安にするとよい。水と酢の分量の目安は、下記の通りだ。
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- 水1カップ(200ml)の場合:酢小さじ1杯
- 水500mlの場合:酢大さじ1杯
酢の割合が多すぎると、れんこんに酢の風味が残ってしまう。酢水を作る際は、目安よりも大幅に濃くならないように気を付けよう。
酢水にさらす時間の目安
れんこんを酢水にさらす時間は、5~15分程度が目安となる。先述のようにビタミンCの流出をおさえるためにも、長時間にならないよう注意が必要だ。(※1、2)
また、皮を剥いたり切ったりしたれんこんは、空気に触れ続けるとどんどん黒ずんでいくため、なるべく早く酢水にさらそう。
3. れんこんを酢水にさらさない料理
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れんこんは、必ず酢水にさらさなければならないわけではない。料理によっては酢水ではなく水にさらしたほうがよい場合や、そのまま使う場合もある。料理に合わせて下ごしらえを変えることが大切だ。
料理に合わせた下ごしらえ
れんこんは水より酢水にさらしたほうが、白さが残りやすい。また、シャキシャキとした食感になる。煮物のように調味料により色味が変化する料理は、水でアク抜きすれば十分である。水にさらすと、ホクホクとした食感が残りやすい。下記を参考に、好みで方法を使い分けよう。
- 酢水にさらす料理:ちらし寿司、サラダなどのトッピングなど
- 水にさらす料理:煮物、きんぴらなど
- 酢水や水にさらさない料理:すり流し汁など、れんこんをすりおろして使う料理
【切り方】
また、れんこんは繊維質の野菜のため、切り方によって食感が変わるのも特徴だ。好みの食感に仕上がるように、切り方も変えるとよい。
- 薄めの輪切り、半月切り:酢の物やサラダなど
- 厚めの輪切り、半月切り:きんぴらや天ぷらなど
- 太めの縦切り:炒め煮
- 乱切り:筑前煮
結論
れんこんを酢水にさらすと、褐変を防ぐ効果がありアクも抜ける。ただし、さらし過ぎると栄養が流出して風味もなくなってしまうため、適度な濃度を守りさらす時間も短時間に留めよう。また、料理によっては酢水ではなく水にさらしたほうがよい場合や、そのまま使う場合もある。切り方も含め、れんこんの下ごしらえの方法は、料理によって選び分けよう。
参考文献- ※1出典:独立行政法人農畜産業振興機構 今月の野菜れんこん
- ※2出典:一般財団法人日本educe食育総合研究所 クセがなくて食べやすい「れんこん」は、11月17日が記念日です☆
監修管理栄養士:小林里穂
経歴:管理栄養士養成施設を卒業後、栄養士資格・管理栄養士資格・栄養教諭資格を取得。学校給食センターでの勤務時に小・中学生に食育を実施した経験を活かし、栄養分野の記事執筆・監修を中心に活動中。