寒い季節になると鍋料理の材料として使われることが多い春菊。独特な苦みを持つインパクトがある野菜だ。そんな春菊は栄養価が高く身体によい効能がたくさんある。この記事では、春菊の栄養や効能に加えて選び方や保存方法、美味しい食べ方も紹介する。
目次
- 1. 春菊は栄養豊富な冬野菜
- 2. 春菊の栄養と効能
- 3. 春菊の選び方と保存方法
- 4. 春菊の下処理方法と美味しい食べ方
1. 春菊は栄養豊富な冬野菜
ここからは、春菊の特徴について解説していく。春菊は地中海地方が原産で、日本では江戸時代から栽培が始まったそうだ。春に黄色い花を咲かせることから「春菊」と名付けられたといわれている。大阪の南西部では「菊菜(きくな)」と呼ばれることもある。
旬や主な産地
春菊の旬は11~2月頃。秋から冬の寒い時期に収穫される。春菊の収穫量は、農林水産省の「令和3年度作物統計調査(※1)」を見ると大阪府、千葉県、茨城県、群馬県などで多いことがわかる。
春菊は野菜の中でも栄養価が高い
春菊は緑黄色野菜の一つであり、とても栄養価が高い。 文部科学省「日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)」で、春菊100gあたりの栄養素を見てみよう。同じ緑黄色野菜のほうれん草や水菜と比較すると、β‐カロテンや食物繊維の量は春菊のほうが多い。(※2,3,4)
2. 春菊の栄養と効能
そんな栄養価が高い春菊の栄養素を詳しく見ていこう。文部科学省「日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)」(※2)で公表されている春菊100gあたりの栄養成分は次のとおりだ。
- エネルギー:20kcal
- たんぱく質:2.3g
- 脂質:0.3g
- 炭水化物:3.9g
- ナトリウム:73mg
- カリウム:460mg
- カルシウム:120mg
- マグネシウム:26mg
- リン:44mg
- 鉄:1.7mg
- 亜鉛:0.2mg
- β‐カロテン(ベータカロテン):4500μg
- ビタミンK:250μg
- 葉酸:190μg
- ビタミンC:19mg
- 食物繊維:3.2g
春菊にはβ‐カロテン、ビタミンC、カルシウム、カリウム、鉄、葉酸などが豊富に含まれていることがわかる。次にこれらの栄養素がもたらす健康効果についても見ていこう。
β‐カロテン
β-カロテンは、植物に含まれる黄色や赤色の色素成分で、体内で過剰につくられた活性酸素を減らす効果があるといわれている。また、β‐カロテンは摂取すると小腸上皮細胞でビタミンAに変換する特性があり、プロビタミンAとも呼ばれている。そのため、皮膚や粘膜の乾燥を防いだり、視力を正常に保ったりといったビタミンAの働きと同様の効果が期待できる。(※2、5、6)
ビタミンC
美容効果がある栄養素の代表ともいえるビタミンC。美容効果があるといわれる理由は、ビタミンCには酸化防止作用があり、体内でつくられた活性酸素からのダメージを抑制する作用があるからだ。また、皮膚や軟骨をつくるときに必要なコラーゲンの生成にもビタミンCが関わっており、健康な肌を維持する上では欠かせないビタミンと言われている。(※2、7)
カルシウム
カルシウムはミネラルの一つで、骨や歯の構成成分である。カルシウムが不足すると骨が弱くなり、骨粗しょう症の原因となることもある。カルシウムは牛乳などの乳製品に多く含まれているイメージがあるかもしれないが、春菊などの緑黄色野菜にも豊富に含まれている。カルシウム不足が気になる場合は、積極的に緑黄色野菜からカルシウムを摂り入れることをおすすめする。(※2、8)
カリウム
カリウムは浸透圧を調整する作用があるミネラルで、ナトリウムを排出する作用がある。ナトリウムは塩素と結合すると食塩(塩化ナトリウム)になり、摂り過ぎは高血圧のリスクが高くなるとされている。カリウムは、ナトリウムを排出し血圧の上昇を抑える働きがあるので、血圧が気になる場合はカリウムを含む春菊を積極的に取り入れるとよいだろう。(※2、9)
鉄
鉄は、貧血予防効果があるミネラルとしてよく知られている。鉄の不足は集中力の低下、頭痛、食欲が減退するなどの症状を引き起こすこともある。鉄はビタミンCや肉や魚などの動物性のたんぱく質と一緒に摂ると吸収率が上がるといわれている。(※2、10)
葉酸
葉酸はビタミンB群の一つで、DNAやたんぱく質の合成、アミノ酸の代謝に関わっている。妊娠中に葉酸が不足すると胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高くなるため、妊婦は葉酸が不足しないように注意する必要がある。(※2、11)
3. 春菊の選び方と保存方法
ここからは春菊の選び方と保存方法を紹介する。鮮度のよい春菊を選んで適切に保存する方法のポイントを押さえておこう。
春菊の選び方
全体的に濃く鮮やかな緑色をしていて香りが強いものが鮮度がよい証。葉は黄色や黒ずんだ色をしていると鮮度が落ちているので避けるように。茎が太いものは育ち過ぎで固い可能性があるので要注意だ。
春菊の保存方法
春菊を保存する場合は、まず茎の部分を水で濡らしたキッチンペーパーで包む。次に、葉先の乾燥を防ぐために葉全体を乾いたキッチンペーパーで包み、保存袋に入れて立てた状態で冷蔵庫で保存する。畑で生えていた状態のまま立てて保存することが春菊を長持ちさせるコツだ。
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4. 春菊の天ぷらは意外と高カロリー
春菊を使った料理の中でも人気が高い春菊の天ぷら。うどんやそばのトッピングとしても人気があり、外食で食べている人も多いのではないだろうか。春菊自体は、栄養価が高くすぐれた野菜でカロリーも低いのだが、春菊の天ぷらは油で揚げているので高カロリーであることをお忘れなく。たくさん食べてしまうとエネルギーや脂肪の摂り過ぎになるので注意が必要だ。
5. 春菊の下処理方法と美味しい食べ方
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ここからは春菊の食べ方について見ていこう。春菊の茹で方や美味しい食べ方を解説していくので、春菊を食べるときの参考にしてほしい。
下処理方法
鍋にたっぷりの湯を沸かし塩を少し入れる。塩を入れるのは色鮮やかに茹で上げるためだ。そして固い根元の部分から入れて1分程度茹でる。茎が透き通り少しやわらかくなれば、葉の部分も入れてさらに30秒茹でる。冷水へ入れて冷まし、しっかり水気を絞れば下処理の完成。
春菊のお浸し
お浸しも春菊料理の定番だ。シンプルだがとても美味しい。あらかじめ小鍋でだし汁、しょうゆ、みりんを煮立て火を止めて冷ます。粗熱がとれたら、茹でて食べやすく切った春菊と合わせ器に盛る。最後に上から鰹節を乗せると、香りが引き立つのでぜひお試しを。
春菊の胡麻和え
春菊の胡麻和えは香りがよく食欲がそそられる一品だ。茹でて水気を絞り、食べやすく切った春菊にしょうゆを少し加えて混ぜ、再び水気をよく絞る。別のボウルに砂糖、しょうゆ、すり胡麻、ごま油を混ぜ合わせ和え衣をつくり、春菊を加えてよく混ぜ器に盛れば完成。
春菊のナムル
春菊にささみを加えたナムルもおすすめだ。ささみを加えることで、たんぱく質を一緒に摂ることができる。春菊は茹でて食べやすく切り、ささみも別に茹でて粗熱をとり、食べやすくほぐす。ボウルに塩、すり胡麻、ごま油を混ぜ合わせ、茹でた春菊とささみを加えてよく和えて器に盛る。
結論
今回は春菊に含まれる栄養や効能、食べ方などを中心に紹介した。春菊は栄養豊富な緑黄色野菜ということが分かっていただけたと思う。いろいろな調理法で食べることができるので、旬の時期にはぜひ新鮮な春菊を使って料理を楽しんでみてほしい。
(参考文献)
※1出典:農林水産省 令和3年度作物統計調査
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_yasai/attach/pdf/index-17.pdf
※2〜※4出典:文部科学省 日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)
https://fooddb.mext.go.jp/※5※11出典:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
https://hfnet.nibiohn.go.jp/
※6※8〜※10出典:厚生労働省「e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/※7出典:厚生労働省「eJIM ビタミンC」
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/09.html