監修者:管理栄養士 児玉智絢(こだまちひろ)
今回紹介するのは、ブドウ糖を摂取して太る理由だ。皆さんはブドウ糖の特徴を聞かれて即答できるだろうか。ブドウ糖という言葉を耳にしたことがあっても、特徴をよく知らないという人もいるだろう。糖が付くため太る原因になるのでは?と感じている人もいるようだ。
目次
- 1. ブドウ糖で太る理由
- 2. ブドウ糖は重要な栄養素
- 3. ブドウ糖の適切な摂り方
1. ブドウ糖で太る理由
最初にブドウ糖で太る理由を解説しよう。朝食を食べずに職場に行くと、なんとなく集中できなかったり、ボーッとしたり、イライラして仕事がはかどらないという人もいるだろう。この原因は、脳のエネルギーが不足していることだ。脳の活動エネルギーに影響しているのが、ブドウ糖である。ブドウ糖は体内に大量に貯蔵できないため、すぐに不足しがちになる。空腹の状態で起床する朝の脳は、エネルギーが欠乏している状態である。朝食をしっかり食べないと、脳のエネルギーが不足し、 集中力や記憶力も低下してしまうのだ。(※1)。
摂りすぎの結果
糖質という言葉を耳にすると、太ると思いがちではないだろうか。糖質にはいろいろな種類があり、それぞれ特徴が異なる。単糖類は果物に含まれているブドウ糖や果糖のように、これ以上分解できない小さな単位の糖だ。二糖類は単糖類が2つ結びついており、たとえばブドウ糖と果糖が結びついたショ糖(砂糖)がある。また、単糖類がたくさん結びついたものを多糖類といい、お米のでんぷんがそれだ(※2)。血液中のブドウ糖の濃度が上がると、インスリンの働きによって中性脂肪に変化し、脂肪細胞に蓄えられる。その結果、ブドウ糖を多く摂取し過ぎると太るうえ、糖尿病をはじめとしたさまざまな健康トラブルの原因、そして生活習慣病にも関係する(※3)(※6)。
2. ブドウ糖は重要な栄養素
摂り過ぎると太る可能性のあるブドウ糖だが、摂取するとどういった効果が期待できるのだろうか。
働きについて
先述したようにブドウ糖は脳を動かす働きがある。ブドウ糖が不足すると集中力がなくなったり、イライラしたりすることがあるため、意識して摂取することが大切だ(※1)。
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人体にとって重要な栄養素
私たち人間は古来から炭水化物を主食としている。炭水化物は人の身体を作るのに欠かせない栄養素だ。炭水化物を摂取するとブドウ糖に分解されてエネルギー源になる。ただし、ブドウ糖は体内で大量に貯蔵できないため、朝は欠乏した状態だ。活動前の朝に、ごはんを食べることはブドウ糖を補うのにおすすめである(※4)。
セロトニンとの関係
甘みをもたらす成分のひとつがブドウ糖だ。甘いお菓子と塩味のお菓子を比較すると、甘い方が太ると思っている人もいるだろう。味は太るのに直接の関連性はないと考えられている。ブドウ糖を摂取して甘みを感じると、人は脳の快感を司る部分が刺激され、リラックス効果のあるセロトニンが分泌される。ブドウ糖のような甘み成分はストレスを解消するのにおすすめだ(※5)。
3. ブドウ糖の適切な摂り方
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最後にブドウ糖の適切な摂り方を紹介しよう。太るのが嫌で糖質をなるべく摂取しないようにしている人もいるだろう。しかし先述したように、ブドウ糖は脳にとって大切な栄養素だ。
1日に必要な摂取量
皆さんの中には太るのを避けるため、糖質制限している人もいるだろう。糖質を摂取すると消化吸収を経てブドウ糖に分解され、血液を通し全身に運ばれてエネルギー源になる。ただし摂取し過ぎると余分なものが脂肪になり、体脂肪として身体に蓄えられる(※6)。1日に必要な糖質の量は、運動習慣がない人と、日頃からトレーニングしている人では、2倍以上の開きがある。たとえば体重60kgの人が軽いトレーニングをすると、体重1kgあたりで必要な糖質は5~7gだ。1日に必要な量を計算すると60kg×5~7g=300~420gである(※7)。
結論
ブドウ糖のような糖質を摂取し過ぎると太る可能性があることを紹介した。復習になるが、ブドウ糖を過剰摂取すると太るうえ、生活習慣病につながる可能性がある。しかし脳にとっては大切な栄養素なので、適量を摂取してもらいたい。
(参考文献)
- ※1※4出典: 農林水産省https://www.maff.go.jp/
- ※2出典:公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構「テーマ:「ごはんでダイエット I」」https://www.komenet.jp/sedai04/106.html
- ※3出典:厚生労働省「ブドウ糖(ぶどうとう)」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-030.html
- ※5出典:特定非営利独立法人 日本成人病予防協会「甘味 ~おいしさの秘密~」https://www.japa.org/tips/kkj_1101/
- ※6出典:大塚製薬株式会社「糖質はとりすぎも不足もNG!?糖質コントロールを助ける「低GI食品」とは」https://www.otsuka.co.jp/cmt/column/nutrition_laboratory/soy/215/
- ※7出典:森永製菓株式会社「あなたに必要なタンパク質と糖質の最適な量とは」https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=3&category=muscle