「鱈の切り身を買ってきたら、白い線虫がついていた。これは何の寄生虫?」買ってきた魚に寄生虫がついていたらびっくりするだろう。寄生虫がついていたら、どう対処してよいのか、その鱈を食べていいものなのかも気になるところだ。この記事では、鱈についている可能性のある寄生虫と寄生虫にあたらないようにする方法について説明する。
目次
- 1. 鱈についている可能性のある寄生虫はアニサキス
- 2. 鱈を食べてアニサキスにあたったらどうしたらいいのか
- 3. 鱈に寄生するアニサキスによる食中毒を避けるためには
1. 鱈についている可能性のある寄生虫はアニサキス
鱈の切り身を買ってきたら、なにやら白い線虫がついている。これは、寄生虫の一種であるアニサキスである。
アニサキスとは?
アニサキスとは、線虫の寄生虫の一種である。幼虫は長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで白色をしている。(※1)
アニサキスは、魚の内臓の表面に寄生していることが多いが、寄生している魚介が死亡したあと、時間が経つと内臓から筋肉部分へと移動する。こうなると探すのがかなり難しくなるといわれている。
どんな魚に寄生しているのか
アニサキス幼虫は、鱈、鯖、鰹、鮭、スケトウダラなどの魚に寄生している。
最近では刺身として人気のある鯵(アジ)、鰯(カツオ)、秋刀魚(サンマ)、鮃(ヒラメ)にも寄生していることがわかっており、魚屋では、より目を光らせてアニサキス除去を行っている。
アニサキス混入は神経質になる必要はない
基本的にスーパーや鮮魚専門店などでは、対策を講じた上でリスクの低いものを生食用や刺身用として売っている。よってそこまで神経質になる必要性はない。
しかしそれでも気になるという方は、刺身をスライスする際に、「目視でよく確認する」という対策を重ねることをおすすめする。アニサキスは、症状が重い寄生虫であるが、肉眼で確認できる大きさなので目を凝らしていれば探すことができるのである。
2. 鱈を食べてアニサキスにあたったらどうしたらいいのか
ここでは、鱈を食べてアニサキスにあたったときの対処法について説明する。
鱈に寄生しているアニサキスはなぜ食中毒になるの?
アニサキスを食べてしまうとなぜ食中毒になるのだろうか。それはアニサキスの幼虫が、私たちの胃壁や腸壁に刺入して、アニサキス症(食中毒)を引き起こすからだ。(※1)
鱈に寄生したアニサキスを食べてしまうとどうなるの?
生きた状態のアニサキスを生魚と共に食べてしまうと、「急性胃アニサキス症」もしくは、「急性腸アニサキス症」を発症する可能性が高くなる。
急性胃アニサキス症は、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐のような症状を、食後数時間後から十数時間後に引き起こす。急性腸アニサキス症は、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を、食後十数時間後から数日後に引き起こす。発症の多くが、前者の「急性胃アニサキス症」だといわれている。アニサキスによる食中毒が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診しよう。(※1)
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3. 鱈に寄生するアニサキスによる食中毒を避けるためには
鱈に寄生するアニサキスの食中毒を避けるために私たちが気をつけられることは何だろうか。
鮮度のいい鱈を選ぼう
鱈に寄生するアニサキスの食中毒を避けるためには、まず鮮度のいい鱈を選ぶことが大切だ。一匹で購入した場合は、すみやかに内臓を取り除こう。そして鱈の内臓は、決して生で食べないように気を付けよう。
鱈の白子は、鍋では人気のある部位である。火をくぐらせて、ぽん酢をかけて食べると美味しいが、生のままで食べてはいけないことを覚えておこう。
鱈は冷凍するか加熱する
鱈に寄生するアニサキスによる食中毒を避けるためには、鱈を-20℃で24時間以上冷凍するか、70℃以上で加熱もしくは60℃なら1分以上の加熱を行おう。冷凍か加熱をすれば、アニサキスの幼虫は死滅する。(※1)
二次感染を防ぐ
鱈を処理するために使ったまな板や包丁は、よく洗ったあとに熱湯消毒、または消毒液で消毒しよう。鱈を処理したまな板や包丁を洗わないままで、別の食材を切らないように気を付けよう。(※2)
アニサキスに関する誤解
塩漬けや酢漬けの処理で、アニサキスは死滅すると言う話を聞いたことがあるかもしれないがこれは間違っている。一般的な料理で使う調味料では、アニサキス幼虫は死滅しないのである。(※1)
結論
鱈の寄生虫であるアニサキスについて説明した。鱈は基本的に、冷凍や加熱を十分に行っているものを選ぼう。必要以上に神経質になる必要はないが、生食や刺身として食べるときは、鮮度のよいものを選び、鱈にアニサキスがついていないか目視で確認しよう。またひどい腹痛や下痢などが起こった場合は、速やかに医療機関で受診しよう。
(参考文献)
※1出典:厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」
https://www.mhlw.go.jp/
※2出典:東広島記念病院「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」
https://hmh.or.jp/kensin/wp-content/uploads/sites/6/2019/06/bc211c1c4f93c8b2ec6f3625ca2a6b72.pdf
監修管理栄養士:藤井千晃
経歴:リクルート営業経験後、300本を超える栄養関連の記事の執筆・監修経験を持つ。温活・ダイエット・メンタルケア分野を得意とする。