おせち料理にはかかせないくわい。普段なかなか食卓に並ぶことが少ない食材だが、なぜくわいはおせちに必ず入っているのだろうか?この記事では、おせちにくわいを入れる地域や意味、さらにはくわいの煮物の作り方について紹介していく。
目次
- 1. おせち料理にくわいを入れる意味
- 2. 関西だけ?おせちにくわいを入れる地域
- 3. くわい料理はおせちの何段目?
- 4. おせちに入れるくわいの煮物の作り方
1. おせち料理にくわいを入れる意味
くわいとは中国原産の水生植物で野菜の一種だ。見た目は里芋によく似ており、くわいという名前の由来は、諸説あるが球根から出ている芽が農作業に使うくわによく似ているからだといわれている。
そんなくわいがおせちに使われる理由は、ぐんぐんと伸びる芽が出世や向上などを思い浮かばせるからだ。大きな芽の出るくわいは、芽出たい(めでたい)とされ、祝いの席に欠かせない食材として、おせち料理に活用される。つまりおせち料理にくわいが使われるのは、立身出世を願ってのことなのだ。
2. 関西だけ?おせちにくわいを入れる地域
くわいをおせち料理に使うのは、関西だけだという話がある。しかし実際にくわいは関東地方などでもおせち料理の中に入っている。くわいの日本一の生産地は広島県で、全国の生産量の約8割を占めており、くわいは関西地方でよく使われることが多いことから関西だけだと思われているようだ。
くわいをおせち料理に入れる意味は全国共通で、幅広い地域でくわいはおせちに欠かせない食材になっている。
3. くわい料理はおせちの何段目?
おせち料理は、重箱に詰めて並べられるが、その中でも何段目に何を詰めるかは決まっている。もともとおせち料理を重箱に詰めるのには、おめでたいことが積み重なるようにという願いが込められているのだ。
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一段目は壱の重と呼ばれ、祝い肴や口取りと呼ばれる黒豆や田作り、数の子、伊達巻などが入れられる。二段目は弐の重と呼ばれ、酢の物を入れる。主に紅白なますや酢れんこん、そしてブリなどの焼き物が入ることが多い。三段目は参の重と呼ばれ煮しめを入れる。そして、この三段目にはくわい料理を入れることが多い。くわいの煮物はあっさりとした味付けが定番で、薄味を好む関西人にとくに好まれている。
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4. おせちに入れるくわいの煮物の作り方
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おせちに入れるくわいの煮物はどのように作るのだろうか?くわいの煮物の基本の作り方を紹介しよう。
くわいの煮物の材料
- くわい
- だし汁
- 砂糖
- みりん
- 醤油
くわいの煮物の作り方
- くわいのおしりの部分を切り落として、茎の部分は1~2cmほど残すように切り落とす
- くわいの形に沿って茎の根元まで皮を剥く。水に5分ほどさらす
- 鍋にだし汁とくわいを入れて中火にかける
- 湧いたら、火を弱めて3分ほど煮てから砂糖とみりんを加えて5分ほど煮る
- 最後に醤油を入れて、さらに10分ほど煮込んだら完成だ
くわいを煮込んでいるときにアクが出たら、軽くすくいながら煮込むようにしよう。完成したくわいの煮物は、一度しっかり冷ますと味が染み込んで美味しい。くわいの煮物は冷蔵庫に入れておけば3~4日ほど日持ちする。
くちなしで色付けする場合
くわいの煮物は、くちなしで色付けすることもできる。くちなしを使う場合は、事前にくちなしの実を水に浸しておき、色を出しておくことが大切だ。あとは、くちなしから出た液と一緒にくわいを煮込む。くちなしを使うことで、くわいの煮物が綺麗に色づく。直接くちなしを鍋に投入すると、色が濃くなりすぎてしまうので、注意しよう。
結論
くわいは、出世や向上を連想させることからおせち料理の出世祈願として欠かせない食材だ。おせち料理にくわいの煮物を入れるのは、関西だけにとどまらず全国各地に存在する文化だ。くわいは独特な形をしており、普段なかなか食べることのない食材だが、煮物にすることで、ホクホクとした食感が楽しめる。ぜひおせち以外でもくわいを味わってみてもらいたい。
監修管理栄養士:渡邉里英
経歴:大学で栄養学を学び、大学院卒業後、医学関連出版社に就職。管理栄養士としての知識と医学雑誌の編集経験をもとに、オリひと食料理記事の監修に至る。