監修者:管理栄養士 佐々木倫美(ささきともみ)
鍋にスープに、寒い時期になるとなにかと登場する機会の多い白菜。白菜を調理する際、黒い点に目がいったことがないだろうか。一見カビや虫ではないかと心配になるが、いったい白菜の黒い点はなんなのか。正体と原因について詳しくみていこう。
目次
- 1. 白菜の黒い点はポリフェノール
- 2. 白菜に黒い点ができる原因
- 3. 白菜の食べられない状態
1. 白菜の黒い点はポリフェノール
白菜によく付いている黒い点が気になったことがある方も多いだろう。まず白菜の黒い点の正体と食べることができるのかを解説していこう。
食べられる
白菜に黒い点があると、虫が付いているのかも?カビが生えたかな?と心配になるかもしれない。しかしほとんどの場合、白菜の黒い点はポリフェノールで、ほぼすべての野菜に含まれている苦みや色素の成分であるため、食べても問題はない。ポリフェノールは、抗酸化作用があり、活性酸素などの有害な物質を無害なものへと変えることができ、生活習慣病の予防に役立つとされている。(※1)
2. 白菜に黒い点ができる原因
白菜に黒い点の正体がわかった。では白菜の黒い点はなぜ発生するのだろう。
生理反応によるもの
白菜の黒い点は、白菜自身の生理反応によって発生する。白菜内の細胞にストレスがかかると、ポリフェノールの色素合成が促され、黒い斑点として表出する。「ゴマ病」とも呼ばれ、窒素の過剰吸収、温度変化、収穫期の遅れなどが要因で発生するとされている。収穫後、低い温度下で保管することでも起こるため、購入時はキレイな状態でも冷蔵庫での低温環境下で発生したり、増えたりするケースも珍しくない。ポリフェノールはさまざまな食品に含まれている安全な成分のため、白菜に黒い点が現れたとしても食べられるため心配はいらない。
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3. 白菜の食べられない状態
白菜の黒い点の正体と原因が判明し、腐敗ではないことがわかった。では白菜はどのような状態になったら食べられなくなるのだろうか。
見た目の特徴
白菜は腐った状態になると葉が黒や茶色に変色し、さらに腐敗が進むと粘り気のある液体が出てくる。葉先は腐敗が広がると、葉自体が溶けてくることもあるのでわかりやすいだろう。白菜の黒い点が葉先の縁にあり、茶色くなっているものは「縁腐れ病」といい、生育中に天候不順や霜や乾燥などのストレスで起きるものだ。白菜の芯や葉の中ごろに黒い点ができる「ゴマ病」とは異なるため注意しよう。「縁腐れ病」は、そのまま食べることができる「ゴマ病」とは違い、変色部分を除去することが望ましい。また、カビが生えている場合は、カビ胞子が全体に広がっている可能性があるため、まるごと処分するのがした方がいいだろう。白菜は保存方法によっては長く保管できるため、工夫して保存しカビの発生や腐食を防ごう。
臭いの特徴
白菜をはじめとする野菜は、腐敗すると酸っぱい臭いを発生させる。漬け物のような臭いがした場合は腐っている可能性が高いため、食べるのは控えた方がいいだろう。
白菜は腐敗していなくても、気になる臭いを発生させることもある。消毒のような臭いやワサビに似た鼻にツンとくるような臭いは、白菜の持つ辛み成分や白菜自体の成分が放つ臭いのため、食べても問題はない。においの判断がつかない場合は、見た目とともに判断するといいだろう。
結論
白菜は、ひとつが大きく保管する期間が長くなってしまうこともあり、状態の変化には過敏になってしまうかもしれない。白菜に発生している黒い点は、味にも健康的にも問題ないことがわかるとグッと扱いやすくなるだろう。また保存方法によって長く楽しめる野菜のため、今回紹介した知識を安心材料にさまざまな白菜料理を楽しんでほしい。
(参考文献)
- ※1出典:ポリフェノールの種類と効果と摂取方法 | 健康長寿ネットhttps://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/polyphenol.html